トレーニングをしたらすぐに筋肉はつくのか。コエンザイムQ10の視点から

トレーニングをしていてそもそもすぐに筋肉はつくのかという問題

 トレーニングをずっとやっている方はよくご存知だと思うのですが、筋肉はなかなか思ったように付かないものですよね。あれだけやったのに、思うように発達してくれない。もっと大きくしたいのに、って思う方も多いのではないでしょうか。しかし、あまり運動をしたことがない方や、トレーニング初心者の方は「筋トレすると筋肉ついて太くなるから嫌だ」と言う方がたくさんいらっしゃいます。そんな人に一言お伝えさせていただくなら、「筋肉大きくしたかったら、栄養・休養・運動頻度をしっかり考えながら、結構なトレーニングをしないと筋肉は付かない。簡単につくものではない」と。今回のブログは「なぜ筋肉が簡単には付かないのか」について書かせていただきたいと思います。今回は私が尊敬するサプリメント開発のプロフェッショナルである桑原弘樹先生のお話をもとにまとめます。
 
◆筋肥大を抑制するメカニズム
 まず知っておくべくべきは、“私たちの体は一定以上の筋肉がつかないような構造になっている”ということです。私たちの先祖は何万年もの間、“飢餓”と戦っていた歴史があります。私たちが生きているこの飽食の時代は、長い歴史から見るとほんの1秒のようなものではないでしょうか。筋肉はそもそもついているだけでエネルギーを消費してしまうものなので、筋肉が多い→エネルギー消費が大きい→お腹がすく→飢え という流れができてしまいます。よって、必要以上の筋肉は生きる上では不要でした。つまりは、燃費の悪い車のようなもの。
 私たちの体内のシステムに“ユビキチンプロテアソームシステム”というものがあります。なんとも読みづらい横文字ですね。このシステムは「筋肉を必要以上につけないようにしよう」という長年の人類の歴史の中で培われたメカニズムなんですね。さらに、筋肉を分解しようとするAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)という酵素も体内で分泌されることもわかっています。そうなんです。筋肉はそう簡単に付くものではないのです。そう考えると、一生懸命に筋トレをしている方にとって、結果がすぐに出なくても「そういうもんだ」と落ち込まなくてよくなりますね。だから頑張るんです。それくらいの精神的な持久力がないと筋肉が発達しないと思っておくことが大事ですね。

トレーニングをしていても老化のスイッチは人生の早い段階で押される

◆老化のスイッチは20歳から押されてしまう?
 トレーニングをはじめ、私たちの身体は動くエネルギーを作る際にエネルギー生産の最終過程で「コエンザイムQ10」という物質が使われます。コエンザイムQ10の体内での合成能力は20歳くらいで低下し始めると言われています。体のエネルギー生産機構が弱くなる、つまり老化へ向かい始めるということになります。どれだけ必須アミノ酸を飲もうと、プロテインを飲もうと、筋肉をつけて基礎代謝量を増やそうとも、エネルギー生産の最後の過程がしっかり行われなければ、エネルギーをたくさん作ることはできません。だから、年をとるとエネルギーが足りずに力が出なかったり、疲れやすくなったりするわけですね。人生の早い段階からそのような老化の大きなスイッチが押されるとなると、私たちの体がいかに早く老化に向かっているのかがわかってちょっと悲しくもなります。ただ、諦めてはなりません。トレーニングをしている人は次の項目も読んでみてください。

トレーニングをしている人へ。コエンザイムQ10を外から取るという選択肢も

◆外から補うという考え方(サプリ)
 ただ、人間の知恵も負けてはいません。トレーニングでエネルギー代謝経路を円滑にするという合成能力が落ちるという問題を解決するために、人間はコエンザイムQ10を作って外から摂取させることを可能にしてしまいました。コエンザイムQ10は食材から十分に摂ることはできないのです。人間はビタミンをとろうと思ったら果物を食べたり野菜を食べたりして補うことができますよね。体で作られないものは外から取ることができるようになっているのです。例えば必須アミノ酸(9種類のアミノ酸)は体内で合成することができません。そのため、他の食材から取りやすいようにできています。トレーニングをしている方は知っている方の方が多いでしょうが、よく話題として上がるのがアミノ酸関連のお話です。体内で合成できるのが非必須アミノ酸なのですが、必須アミノ酸も体内で合成できないのはどうして?と思う方も多いでしょう。これを桑原先生は車に例えて話をされています。「昔のガソリン車はよく自分でいじれたもんだ。故障しても直しやすかった」と。つまり何が言いたいのかと言うと、必須アミノ酸も体内で合成できるようになると、その代謝ネットワークやメカニズムがまた複雑になってしまうからであると。複雑なものは故障したときにとても大変ですね。ハイブリットの車はエンジンルームを開けてみても、エンジン車よりも構造が複雑で素人には手が付けられない。じゃあどうするのか?その答えは「外注をするんだ」とのこと。複雑なものは外注してしまって、あとは体内はシンプルでいるのが効率もいいし、故障しにくいんだ、という例えなのですね。人間の身体はとても緻密でいい状態にしてパフォーマンスを上げたいのですが、一方で修理も簡単にしたいわけですね。複雑なものは外から取ってあげればいい、だから必須アミノ酸は外から摂りやすいようになっているイメージですね。実にわかりやすい例え話でした。
 では、コエンザイムQ10はどれくらいの量を一日に摂取したらいいかということになると100mg。コエンザイムQ10がリッチに入っているイワシでさえも、一日に20尾食べないといけない。とても現実的ではない。よって、研究に研究を重ねてコエンザイムQ10を作ることに成功した人間の知恵と努力はすごいものです。トレーニングをして筋肉をつけたい方はコエンザイムQ10を摂取してみるのもありかもしれませんね。

この記事の著者

中村将太  1989年11月生まれ
高校の英語教員として働く中、2020年に久留米市のパーソナルジム ニックスフィットネスをオープン。代表トレーナーを務める。
日本ダイエットスペシャリスト協会認定講師でもある。
得意分野はダイエット指導で、専門知識をふんだんに駆使して、お客様のダイエット成功の道を作ることが何よりのやりがいと感じている。ダイエット・ボディメイク・健康のことでお悩みの方はお気軽にLINEにてご連絡ください。一緒に効率的なトレーニングをしていきましょう。また、中国武術の詠春拳教室でも指導を行っています。

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